2018年07月30日

軍隊の訓練なしに大学を卒業させない!


 カイロ大の工学部に通う息子は、9月から大学5年生の最後の年を迎える。卒業する前に男子学生全員軍隊の訓練を2週間(12日間)受けなくては、ならない。これは、徴兵とは別物だ。


 徴兵は、18歳以上のエジプト人男子に課せられて義務だが、下記の男子は、免除される。

・兄弟が、いない男子(異母兄弟は、どうなるかは不明)

・父親が、60歳を超えている男子

・健康診断で不適格とされた男子

・国籍を2つ以上有する男子

・エジプト国籍しか有してなくても、片親が外国籍の男子

徴兵の期間は、1年から2年とされ、大卒は1年と言われている。


 軍隊の訓練に話を戻す。

 この軍隊の訓練は、毎年行われる。カイロ大では、2週間のセットが5回行われる。1回のセットに1200人が参加するので6000人の男子がこの訓練に参加することになる。私立大学を除いて、国立大学は軍隊訓練のためか学生の体力向上を狙ってか広いグランドを所有している。そこで朝730分から2時まで訓練が行われる。730分から9時までは、35度を超える炎天下の中で体力トレーニング、10時から2時までは、講義でエジプト軍隊の歴史から組織、警察と軍隊との違いや考え方などをみっちりたたき込まれる。

軍隊の歴史は、5000年前のファラオの時代かららしい。ファラオは、王様だが、軍隊の総指揮者であり、軍の先頭に立って戦った勇者だった。現代史になると、アルカイダやISに対していかにエジプト軍が戦っているかを講義されたらしい。軍隊の強い姿勢が出てると思ったのは、アルカイダやISは、テロリスト集団であることは、世界中の国々が周知しているからか、モスリム同胞団についてだけ必ずテロリストのモスリム同胞団と呼ぶらしいのだ。

カイロ大の学生の中には、今のエジプトでは非合法になってしまったがモスリム同胞団の者もいる。もし、この講義に異議を申し立てたら、軍事裁判か、卒業させないという罰が待っている。

軍隊の訓練では、「アッラー、アクバル(神は、偉大なり)」をことあるごとに言わせる。最後は、宗教で人々を束ねているのだ。

続きを読む
posted by エジプト日誌 at 01:21| Comment(0) | 日記

2018年01月06日

義父の葬儀

12月初旬に義父が亡くなくなりました。カイロの北西350キロに位置するマルサマトロウワに葬儀のために行きました。義父は、77歳で風邪をこじらせて突然亡くなりました。

 夫のルーツは、マルサマトロウワのベドウィン(遊牧民)なのでベドウィン方式のイスラム教形式で葬儀が行われました。夫と義弟が喪主となり、 昼12時から夜12時まで 3日間弔問客を迎え、食事を振舞いました。そのために羊を4頭屠りました。3日間で1000人くらい訪れたそうです。 義父は、マトロウワの市長をしていたことや大きな部族出身なので1000人も集まったのでしょう。カイロやアレキサンドリアでの葬儀は普通、1日場所を借りコーランを流して、弔問客を受け入れるのが普通で食事は、出しません。

 葬儀の場所は、叔父の家を借りました。親戚のほとんどは、もう遊牧生活をしておらず、都市生活を送っていますが、叔父は、ベドウィンの女性と結婚し、冠婚葬祭などの行事はベドウィンの伝統を守っています。この叔父と兄弟なのに義父は、アレキサンドリア出身の義母と結婚し、普通の生活をしていたのが不思議でした。

 弔問客は、男女別々の部屋に分かれます。私は、女性の部屋にただただ座っているだけでしたが、義母は、女性弔問客の相手をずっとしていました。ベドウィンの女性たちは顔や手や足にタトゥーがあったり、カイロやアレキサンドリアとは違うベドウィンのアラビア語をしゃべったり、義母の苦労が少しわかりました。

 家族も知らなかったのですが、義父は、孤児たちに毎月お金を渡して助けていました。その孤児たちが、弔問に来てわかりました。定年退職するとき、孤児院を作ろうとしていましたが援助してくれる企業を失いその話は流れてしまいました。きっと、そこに入るはずだった子供たちを助けていたのでしょう。義父は口下手な人であまり話さなかったのが残念でした。

この葬儀で、イスラム教徒として最後にお世話になった人や貧しい人に食事を振舞え、義父は喜んでいるのではないかと思いました。


posted by エジプト日誌 at 04:55| Comment(0) | 日記

2017年12月25日

偏見

 私の息子は、以前も書いたようにEUの政治機構や法制度を学ぶ学生サークルに入っている。定期的にセッションを行い、テーマを決めて一般学生に自分たちの活動の広報を行っている。

 つい最近行われたテーマは、「prejudice(偏見)」でした。集まった大学生50人ほどにアンケートを取って、内なる偏見を探りました。アンケートの内容は、5つの場面を想定して、(ドアを開けてあげなくてはならない時、一緒に待たなくてはならない時など)その場面に居合わせたのが異性、同性、老人、子供、太った人、痩せている人、障害者、ホモセクシャルの人など、1から5までの点数制で不快感があるほど点数が上がるという風に答えてもらったらしい。

 エジプト人が、考える1番一緒にいて不快感を感じるのは、ホモセクシャルの人だった。理由は、自然ではないからという回答が多かった。1番不快感を感じないのが、太った人だった。エジプト人は、太った人が多いので自然なのかもしれない。

 この国では、ホモセクシャルは、差別されている。新聞に載っていた記事で、男性同士で結婚しようとしたところ参列者まで警察に捕まった。また、ホモセクシャルは徴兵でもはじかれる。つい最近まで男性版バージンチェックのようなことを徴兵のための健康診断でやっていたらしい。もし、ケチがつけば書類に記録され、就職する際に徴兵検査の記録を提示しなければならないのでエジプトでは一生まともな扱いをされなくなる。

 どんな国にも、どんな宗教の人でも、どんな人種にも、どんな性別でも、このようなマイノリティーは、いる。こんなに抑圧されている国でも、毎週水曜日にあるクラブに集まるなどという話も聞く。

 世界では、このような人々に対する偏見をなくしていこうとしているが、エジプトでは、偏見をなくさなければならないという考えにたどり着くまで1000年は、かかる気がする。

posted by エジプト日誌 at 21:25| Comment(0) | 日記